ロジェ・ガレへの愛を綴る
私が初めてボトルで買った香水、いわば原点は、ロジェ・ガレの看板商品、フィグ。
今回はそんなロジェ・ガレが好きだという私の想いを供養させてください。
私がロジェガレと出会ったのは2~3年前のルミネエスト新宿。
当時の私はまだ香水を趣味にしていなかったし、当然このアカウントも無かった。
私は小学生のころラッシュが好きだったり雑貨屋の一角の香水のお試し用のコットンをよく嗅ぐ子供だった。しかし、特に親族や友人にそのような趣味を持つ人はおらず、なんか私にはそういう一面があったっけなあと、それくらいの気持ちでしかなかった。
ロジェ・ガレのあるルミネエストのフロアはまるごとロジェ・ガレの店頭の匂いがする。
つまりフロア全体が看板商品であるフィグの匂いなのだ。
ほんのりと甘くデリシャスなイチジク。
果実を丸ごと頬張る瞬間のように心踊るフレグランス。果肉の甘さ、葉の清々しさ、樹皮の温かみで、イチジクの魅力を丸ごと味わうかのよう。グレープフルーツでフランスらしいアクセントを効かせつつ、全てを包み込むようにムスクが混ざり合う。光溢れる南フランスのエステレルで、幸せに満ちたひと時。カリスマパフューマー、フランシス・クルジャンが、エステレルのイチジクの庭を訪れインスパイアされた甘い香り。
【お詫び】
私がこの時購入したのは「フィグ パフュームウォーター」だったのですが、誤って「フィグ オーデパルファム」のリンク先と説明文の引用を掲載しておりましたので、訂正させていただきました。大変申し訳ございませんでした。
初めてこのフロアを訪れた私、
そこのロジェ・ガレって店の香水をつけたら私はこのフロアの匂いのする人になれるの…???
と大層驚いたのをよく覚えている。
ロジェ・ガレはけしてニッチなブランドではない。
雑誌にもよくオシャレアイテムとして取り上げられ、インスタでもモテ香水として挙げられている。
香りもどちらかといえば万人受けし、ライトなものが多い。
ただ、今までの私が思っていたような「the 香水の匂い」ではなかった。
フィグは「ただただめちゃくちゃいい匂い」だった。
そもそも香水というオシャレアイテムに興味を持つ自分というのも気恥ずかしかったし、ワインの紹介文にも通じる香水の紹介文独特のあの雰囲気にも敷居の高さを感じていた。
まさに私に似合う香水!!とかも微塵も考えていなかった。
フィグの部分はともかく、バニラとかピンクペッパーとかパチョリとかはまるで判別できなかった。正直今でもそう言われれば…って感じです。トータルでいい匂いならそれでいいんです
ただ、繰り返しにはなるけども
この匂いのする自分っていうのはお金で手に入るんだ……
という事実はとても魅力的なものだった。
以下の写真が示すような、細かい植物の装飾やアール・ヌーヴォーが好きな私の心をメッタ刺しにするビジュアルもそれに拍車をかけた。
そうして売れ筋ナンバーワンだったこのフィグとナンバーツーのジンジャールージュとで悩みに悩んだ末選んで買ったフィグ30mlが私の初めての香水ボトルになった。
レッドジンジャーとザクロ、ピンクペッパーが赤の共演。
スリリングで情熱的なラブストーリーを予感させるフレグランス。
遠浅(とおあさ)の砂浜と白いサンゴ礁に囲まれたアフリカのザンジバル島は、アラブとヨーロッパの影響を受けて世界文化遺産となった街並みを持つ。調香界の巨匠アルベルト・モリヤスとアマンディーヌ・クレマリーは、この美しい島での思いがけない出会いと情熱的に繰り広げられるラブストーリーを表現。ジンジャーエッセンス、ザクロ、ピンクペッパーの共演が開放感と大胆さを与えてくれる愛の予感。
漠然と、両方ともマジでいい匂いだけど後者の方が少しスパイシーでセクシー、お姉さんっぽい香りだったのでとりあえず一番はじめなので甘いほう行っとこう、といった理由だった。
ちなみに当時は知りもしなかったけどフィグの調香師はフランシス・クルジャンでジンジャールージュの調香師はアルベルト・モリヤス。どちらにしても大御所もいいところだった。
ロジェ・ガレ2本目のボトルとなるテ・ファンタジーは柑橘の入った紅茶の香り。エクストレド・コロンというフィグ達より少し高級なラインなのだが、直感でうわめっちゃいい匂い、この匂いの人になれるんだというフィグとほぼほぼ変わらないノリで購入したのを覚えている。こちらもまた売れ筋で、ロジェ・ガレとしてもフィグと同じかそれ以上に売り出しているものである。
厳選されたシトラスとセイロンティー、サンダルウッドやベンゾインの神秘的なウッディ、ベチバーやシピオルのアーシーな植物の香りが複雑に絡み合い、ヘディオンによって幻想的にたゆたいます。いつからそこにあったのか、本棚の奥にバーガンディ色の装丁本を見つけたような。スモーキーな紅茶を飲みながら、次第に異国情緒あふれる物語へと引き込まれ夢中になる、時を忘れさせるファンタジーなフレグランスです。
フィグとテ・ファンタジーは両方とも万人受けする匂いであり、大学につけていくとたまにいい匂いだねと褒められる匂いであった。
おそらくこのブログを読んでくださっている方の大半はニッチフレグランスが好きで、時に自己表現の手段、時に一人の時間を豊かにする手段として自分の好きな香水を日常の一部にしているはず。
ただ、匂いモノが好きとはいえその領域に達するにはある程度の時間が必要。
洋服や化粧と同じで、自分はどんな方向性のものが好きというのが確立されないとそもそも選べないのではないかと私は思う。
私にとってロジェ・ガレはその前段階、「いい匂いがするものが好きな自分」「自分の選んだ何かを人に肯定的に捉えてもらう経験」というものを与えてくれたのかなあ、とこの文章を書いていて改めて思った。
香水はいいぞ
と教えてくれたのがこのロジェ・ガレだったのだ。
これまででフィグ、ジンジャールージュ、テ・ファンタジーと三種類の香水について触れた。
そして、つい先ほどツイッターのTLに流れてきたこの情報。
ロジェ・ガレの春の新作。
名前は「ジンジャー エクスキ」(Gingembre Exquis、直訳で「絶妙な生姜」)。
スパイシーなエネルギーと、酸味のあるフレッシュさ、明るいフローラル感、甘いテクスチャー。新作の「ジンジャー エクスキ」は、そんな実・花・根の全てに魅力が詰まった、ジンジャーが主役。きらめくシトラスと花々の繊細な優美さが組み合わさり、幸せと歓びが広がるフレグランスに仕上がっています。
トップノートはジンジャーと、フレッシュで弾けるようなレモンやベルガモット、グレープフルーツなど。続いて、陽の光の中、ヒロインのシフォンスカートがひるがえるように、たおやかなフローラルの香りへと大胆に移り変わります。このハートノートは、ジンジャーフラワーを包み込むジャスミン、オレンジブロッサム、アイリスで大きなブーケのようなイメージに。
ベースノートには、砂糖漬けのジンジャーのような濃厚さを演出するため、ムスクやアイリス、ジンジャー根が添えられ、落ち着いた余韻を残します。
これを見た瞬間走る
これは「好き」の匂いなのでは…
という勘。
そして、これまでつらつらつらつら書いてきたロジェ・ガレとの思い出。
フィグを使い終わったとき、二本目はないかな、と思った。
とても良い匂いなのに変わりは無いけど、自分が「フィグの匂いの女」であることはもう全うしたな、というか(イチジク枠としてプルミエフィグエに出会ったというのも大きい)。
次もし買うとしたらジンジャールージュかな、と思っていた矢先だった。
迷っている。
そもそも本当に買うのか、買うとしたらルージュなのかエクスキなのか、完全に未定。
てかエクスキの匂いまだ知らないし。
それでも、私はエクスキの匂いを試すのをとても楽しみにしている。
TLに流れてきたエクスキの紹介文を見て思い出したのは、香水の紹介文をステキだなあと思えるようになった頃のワクワク感だからだ。
ロジェ・ガレの香りは、外に出たり人に会う時につけるイメージ。
気分が明るくなる、おめかしの香水。
「この人に会うのを楽しみにしていた」という気持ちの香水。
そんなロジェ・ガレの香水が、今、もう一本欲しいのだ。