尊いったら尊い

美術館やら香水やら化粧品やらを軽率に愛でています。

白和えの話

最近全然更新できていなかったこのブログですがここでちょっと毛色の違う文章をば。

香水ではなく食べ物。

たまにグッとくる食べ物というのはありますが、今日たまたま出会えたんですね。誰かに聞いてほしかったのです。よろしければお付き合いくださいね。

 

 


日暮里に信用のおけるスーパーがある。

20年そこらの人生において初めて「すごい」と思ったスーパーだ。

そこの果物や野菜が美味しそう、そしてあまりにも安かったのを少し前に横目で見て以来、最寄りではなくても一度は何か買おう買おうと思っていた。

白和えとは今日初めてお世話になったそのスーパーで出会った。

 


美味しいけどなかなか自分で作る料理でもなかった白和えは、夕方行った事もあり見切り品になっていた。あと少し増量されていたらしい。

写真は無いが、ほうれん草とにんじんとこんにゃくの入ったいわゆる普通の白和えだった。

作るより安いな、と思って購入した。

 


白和えを食べたのは22時頃。

お腹空かないなーとうだうだしてたらこんな時間になってしまった、という時間。

冷蔵庫からパックを出して、3割くらい食べて戻す予定だった。

 


あれ、白和えってこんなに美味しかったっけ。

というか、お腹空いてる時の食べ物ってこんなに美味しかったっけ。などと考えている間に白和えは完全になくなっていた。

 


私が白和えにここまで感動させられるのは実は2回目なのだ。

初めて白和えを食べ感動したのは、2年前のちょうど今頃に訪れたお寺で出てきた精進料理だった。

 


当時私は就活でメンタルを完全にやられ、右も左も分からなくなっていた。そんな中で何故か「そうだ寺に行こう」などと思い立ち、10日ほど浮世…もとい就活と実家を離れて京都にある某寺にお世話になっていた。今思うと我ながら行動力があるが、失うものがない時人は案外行動派なのかもしれない。

 


こういった宿坊として一般人を受け入れているお寺はいくつかあるのだが、私の泊まったお寺はその中でも住職さんの方針として食事に力を入れているお寺だった。

朝夕と食器の音や食べる際の音を立ててはいけない修行としての食事が、昼は特にそういうルールは無いご飯が出てきた。

お寺なので肉や魚は出てこなかったが、これらがべらぼうに美味しかったのだ。そこでよく出るおかずの一つだったのが白和えだった。

 


お寺でやることは、早起き&早寝をベースにラジオ体操のような体操、朝食、その後掃除などで体を動かして昼食、夕方まで自由時間でその後夕飯。それらの間に何度か座禅の時間が設けてあるという、健全を極めた生活を送るというもの。

こういう生活をしていると、自然とご飯が美味しく感じられるようになるのだ。ついでに言うと肌も確実に綺麗になった。

人間本当にダメな時というのはものの味がわからなくなる(と私は勝手に思っている)。実生活に取り入れられるかは別として、健全を極めた生活を送ると短期間でも人は元気になる…という事を知って私は下山した。

 


白和えが印象強かったのは、それまで全然食べたことのなかったからだけなのかもしれないが、ここでの生活を象徴する食べ物にはなった。

 


ともかく、そんな一連の思い出を今日食べた白和えはものの数秒で私に思い出させたのだ。香水の文章を書いていると香りと記憶は〜みたいな話が出てくるけど、味もそれに負けないなぁ、と感じさせられた。

記憶の中の味には勝てないかもしれないけど、一度自分で作ってみたい。


ちなみにこのスーパーでは今日シャインマスカットが一房800円で売られていた。なんてありがたいスーパーなのであろう。今後も足繁く通うことになるはずだ。