尊いったら尊い

美術館やら香水やら化粧品やらを軽率に愛でています。

ラルチザン プルミエ・フィグエ

今回の香水はご存じの方も多いでしょう、ラルチザンよりプルミエ・フィグエ。

世界で初めてのイチジクの匂いの香水であり、調香師であるオリヴィエ・ジャコベッティさんの出世作としても名高い。

www.latelierdesparfums.jp

イチジクの葉の青みがかった香りから、フルーティーな果実の香りへ。そしてアーモンドミルクやサンダルウッドもまろやかに、うっとりとした甘美な香りへとうつろいます。南仏のきらめく日の光に、イチジクの葉が香るそよ風。昼下がりの庭園、イチジクの木の下で眩しい太陽を見上げる - そんなシーンが浮かび上がります。このフレグランスは世界で初めてイチジクをテーマに作られ、パフューマリーの世界において画期的な香りとして誕生しました。(リンク先より引用)

 

最近ブログにあげている香水は何となくスーーーーッと匂いを嗅いでこれはこれこれこういう方面の匂いで…〇〇を連想させる…みたいなものが多かった。

私としてもそういう香水決して嫌いではない、むしろそういう存在がこの世にあるという幸せを日々噛みしめている…

ただし今回のプルミエ・フィグエに関してはダイレクトに良い匂い。

ファーストインプレッションからガッツリ持っていかれたので気持ちテンション高めにお送りします。。

 

 

以前の記事にもある通り、私の香水ライフの初めてのお供はロジェ・ガレのフィグ。

dounikasurushika.hatenablog.com

 

そこからフィグリーフなんていう名前をつけ、無知のうちにTLを漁る中で

らるちざんってところのぷるみえふぃぐえってのはいいにおいのするいちじくらしい!

 

という情報を得てしまい、

 

イチジクの香りなら間違いないっしょ!!!

とりあえず試したろ!!!

という恐れを知らないマインドのもとメルカリでプルミエ・フィグエのサンプルをポチった。ちなみに私が購入したのはオードトワレだったけどオードパルファンもある。口コミを見ている限りあまり匂いに大きな違いは無いと思われる。

 

わぁい届いたぞ~~~(はぁと)

さっそく試してみよう!!!!来いよ、ロジェ・ガレの方と比べてやる…!!!

……

……………

……………………

良い匂いすぎて自分に釣り合わない!!!

 

不測の事態だった。衝撃だった。

イチジクの葉の苦みにミルキーな匂いが~なんて、そんな講評できなかった。

とにかく、一嗅ぎした瞬間今の私がつけるのは恐れ多いと本気で思ったのだ。

ロジェ・ガレのフィグは「この匂いの人になれるの!?」だったけど、プルミエ・フィグエは「今はまだこの匂いの人になれるフェイズではない(戒め)」だった。

イチジクという同じモチーフだからって同じベクトル上にあるわけではないということがよく分かった。

 

ココナッツやサンダルウッドの醸す白くミルキーでしっとり包み込むような部分。

深緑のイチジクの葉。果実を切った断面。それらが混然となって押し寄せる。

 

これらを一言でまとめると、色気であり余裕なのだ。私にとってこの匂いは。イチジクとかミルキーとかサンダルウッドとかいう前に。

性欲にダイレクトに訴えるような動的なものではなく、あくまで仄暗さを感じさせるこもった雰囲気。

人で言うと、顔の造形とか、体格とか、性格とか、とはちょっと違う。

そのような持って生まれたもののもと、自分なりにやってきたという静かな余裕。自分の口から前のめりに語らないあの人だからこそ、佇まいや雰囲気ににじみ出る余裕。

 

そのくせほの温かくて人肌みたいな面もあるのだ。

おそらくココナッツの印象なんだろうけど。

ここで、ココナッツだから、あっ、ラクトンなのかな…と思った。

 

少し逸れちゃうけど、ここでラクトンについて少し触れたい。

ラクトンというのは女性の肌の甘い匂い成分で、桃やココナッツみたいな香り。ついでに言うと桃の部分は年を取るほどに減少するけどココナッツの部分はそうでもないんだとか。

「女子高生の香りになれる」として一時バズったデオコというボディソープの説明に詳しい内容がある(この記事単体でも面白いのでよろしければぜひ)。

www.rohto.co.jp

 

絶対これだろ。間違いないわ。

少なくとも私の中ではこれでファイナルアンサー。

個人的疑問だった「ココナッツの匂いってなんでちょっと人肌っぽいの?」という疑問も解決。

 

 

ともかく、ココナッツも、サンダルウッドも、イチジクの木の色々な部分も、どれもそのものの匂いとして純粋に好きなものではあるけど、それらがまとめて押し寄せることで色気だの余裕だの色も形もないものに思いを馳せることになる、、、

 

反省した。

果たして私はそんな雰囲気を醸し出しているような人間だろうか?

否。

このプルミエ・フィグエは、こういう大人になりたいという匂い。

 

何かあったらプルミエ・フィグエをつける人になろう、という訳ではないけど、外に出たり人と会う時に

あ、今日はプルミエ・フィグエにしよう

と思える日が来た時、なにかふと振り返るものがあるんじゃないかな。

 

今までで外につけていったのは、卒業式の時だけ。私の大学卒業式あったんですよ

大学生活へのさよならと、成熟した人になるぞっという祈りを込めて。

それ以降、プルミエ・フィグエは家でしかつけたり嗅いだりしていない。

買って大分経って香りには慣れたけど、このテスター2mlは、この使い方で終わる気がする。

 

ラルチザン、八角形のボトルは言うに及ばずですがテスターの容器も細長くてちょっとかっこいいんですよね。それも憧れのもとなのかもですね。

プルミエ・フィグエ エクストレームとか、まだ試せてないんですけど、今回記事にしちゃいました。同じオリヴィエ・ジャコベッティ作のディプティックのフィロシコスとかと比較しようかとも思ったんですけど、私にはこっちの印象が強すぎました。

生まれて初めて親を見たコガモみたいなものだと思ってやってください。笑

 

見ていただいてありがとうございました!